美容室を開業するにあたって、提出しておきたいのが開業届です。正式には「個人事業の開業・廃業等届書」という名前で、確定申告時や補助金、助成金を受ける際に有利になります。しかし、難しい言葉も多いため、書き方がわからない方もいるでしょう。この記事では開業を検討されている美容師の方へ向けて、開業届の書き方を詳しく説明します。
開業届を入手する方法は2つ
開業届(個人事業での開業・廃業等届出書)が手に入る場所は以下の2つがあります。
1.管轄の税務署に行って、開業届をもらう
2.国税庁のホームページからダウンロードする
必ず税務署に行く必要はなく、自宅から簡単にダウンロードできます。
美容師が抑えておきたいポイントは8つ!開業届の書き方
初めて独立する場合、どこに何の情報を書き込んだら良いのか緊張する方もいるでしょう。しかし、実際に難しいポイントはなく、以下の7つのポイントを抑えて書き込めば問題ありません。ここでは開業届の書き方を詳しく解説していきます。
①開業届けの「開業」に丸をつける
開業届けの正式名称は「個人事業での開業・廃業等届出書」であり、実は廃業するときも同じ用紙を使用します。そのため、まずは届けの上に表記されている「個人事業での開業・廃業等届出書」の開業に〇をつけましょう。
②管轄税務署と提出日を記載する
用紙左側にある「税務署長」と「提出年月日」部分にそれぞれ記載します。ここで迷うのが管轄税務署です。国税庁ホームページにある「国税局・税務署を調べる」で住んでいる場所の郵便番号を入力すると、どこの税務署が管轄なのかがすぐにわかります。
③納税地・住所・氏名・生年月日・マイナンバーを記入する
納税地の欄には「住所地」「居住地」「事務所等」の3つを選択する欄があります。それぞれ以下を表しています。
・住所地…住民票に記載されている住所
・居住地…住民票には記載されていないけれど住んでいる住所(家が2つあるなど)
・事業所地等…開業する美容室の住所
どこで開業するのかを選び、住所を記載します。その後は氏名・生年月日・マイナンバーなど、自分の情報を記載しましょう。
④職業・屋号を記入する
職業は「美容師」、屋号は「開業するお店の名前」を記載しましょう。職業を記入するときには、アシスタントなど肩書は不要です。
⑤届出の区分を記入する
届出の区分欄には『開業』として〇を記入しましょう。『所得の種類』の欄には『事業(農業)所得』にチェックを入れます。さらに、『所得の種類』の欄の下にある『開業・廃業等日』の記入欄には、開業日を記入してください。ここに記入するのは提出日ではなく、開業日であることに注意してください。
⑥青色申告チェック欄と事業の概要を記入する
「開業・廃業に伴う届け出書の提出の有無」の欄は以下のように記載しましょう。
・「青色申告承認申請書」又は「青色申告の取りやめ届出書」は「有」にチェック
・消費税に関する「課税事業者選択届書」又は「事業廃止届書」は「無」にチェック
「有」と記載した「青色申告承認申請書」の方は、無でも構いません。しかし、青色申告書承認申請書と同時に提出すると、確定申告時に65万円控除を受けられます。その他にも青色申告をしておくと、万が一事業で損失が出た際には、翌年以降の所得から控除が可能です。開業するにあたり税負担が軽くなるなどメリットが大きいため、「有」に〇をすることをおすすめします。
そして、事業の概要は具体的に記載する必要があり、悩む方が多い欄です。以下のような美容師の仕事を簡潔に記載しておけば問題ありません。
例:ヘアカット、カラー、パーマなどのサービスを行う。施術料によって、売り上げを得る。
⑦給与等の支払い状況欄
一人で開業する場合は未記入で構いません。ただし、雇用する人がいるときには、従業員数や税額の有無などを詳しく記載する必要があります。この欄は専門的な知識が必要なため、税理士または税務署職員に相談してみましょう。
⑧関与税理士を記入
確定申告など税務周りをお願いする税理士が決まっているのなら、名前や電話番号を記載します。開業届を提出する時点で税理士にお願いする予定がなければ、未記入で構いません。
開業届が書けたら都合の良い方法で提出
開業届を書いた後は、いずれかの方法で提出します。
1.管轄税務署に郵送する
2.管轄税務署に持って行く
3.e-Taxで送信する
郵送方法はとくに指定されていませんが、開業届は大切な書類です。定型外郵便ではなく、郵便物の引受や配達状況を記録してくれる「特定記録郵便」や「簡易書留」を選ぶ方が多いようです。特定記録郵便は受け取り時のサインが不要なこともあり、簡易書留よりも料金が安いです。2024年9月末時点で特定記録郵便は通常の郵便料金にプラス160円、特定記録郵便はプラス350円かかります。
美容師が開業届を出すときの注意点
提出前には以下の2点に注意しましょう。
1.開業届は2通必要(税務署提出用と各自保管用)
2.管轄の税務署に提出する
やってしまいがちなミスが、コピーを取らずに税務署に送ってしまうパターンです。2通とも同じ内容で構いませんから、1通は手元で保管しておきましょう。また、誤って所轄外の税務署に郵送するミスもあるようです。その際には連絡があり、再度所轄の税務署に提出する手間がかかります。
まとめ
今回は美容師向けに開業届の書き方を解説しました。初めて開業する場合、普段見慣れない言葉や言い回しもあり、難しい書類に見えるかもしれません。しかし、実際に記入する欄は少ないので、今回お話したポイントを抑えておけば問題ないでしょう。不安なときには、税務署職員に相談してください。管轄の税務署に行けば親切に教えてくれるだけでなく、実際の提出まで一日で終わります。